2017年9月9日土曜日

「地震雲」と「地震光」の基礎として、変わった大気現象


地震が来るとなれば、後になってから「地震雲」や「不思議な光」を見た。という人がいます。地震雲については未科学です。事前に分かるものなら科学になります。さて、雲の形は千差万別ですが、確か小学校でもやったような気がします。今回は「地震雲」「不思議な光」と言われているものについて述べてみましょう。

成層圏にできる雲

「極成層圏雲」(真珠母雲)

雲のほとんどは対流圏内にできます。成層圏では上昇気流が起こらないため、対流圏と同じ機構では雲ができません。真珠母雲はオゾンホールを発生させると言われています。見た目は美しいですがそんなに甘いものではないようです。成層圏は地上10km以上の高層であるため、日が沈んだ後でも太陽光を反射して光ります。

その他の雲

「乳房雲」
こぶ状の雲が下に垂れ下がったものです。下降気流や渦流があるときに発生します。私は見たことがありません。地面を眺めて生きてきたもので(地質学でしたので、一応気象学もやっているんですが)。

「波状雲」
大気波という重力波の一種の乱れによって起こります。雲が厚ければ下のようになるが、薄い場合はすじ雲などと区別できにくいです。波動が安定すると風に流されにくくなります。

「穴あき雲」「尾流雲」
雲の中の過冷却の水滴が凍って落下したときに起こる雲形です。穴の真ん中にある黒い雲は「尾流雲」と呼ばれ、落下中の水滴や氷晶が蒸発・昇華したときに発生します。ダウンバーストの一種です。

「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性の雲」
ケルビン・ヘルムホルツ不安定性の原理は、密度の違う液体や気体が、違う向きや速度で進むとき、その境界の面が乱れて渦が発生・成長します。地球だけでなく土星のガス雲でも観測されています。

「アーチ雲」
大きなお皿の一部が見えているような雲です。ガストフロント(寒冷前線の前面)にできる雲で、空気が前線面に沿って駆け上がるときにできます。

「漏斗雲」
竜巻です。中心部の気圧が著しく低下してた場合に発生します。竜巻に発達する前にも漏斗雲は発生するため、竜巻が起こらなくても漏斗雲が発生することがあります。


地形によってできる雲

「レンズ雲」

山を越える風が作るレンズ上の雲です。強風が山の斜面を駆け上がるときに、強制的に冷やされて山の周囲(少し離れたところでも)雲ができます。丸い円盤状の雲が多く風によって何重にも重なってできることもあります。ごくたまに、UFOと間違えられることがあるようです。


「笠雲」
レンズ雲の一種で山頂付近にできる雲です。レンズ雲が山にかかると、山がちょうど笠をかぶったような姿になります。地域によってはこの雲の形を分析しているようですが、強風が吹いているのですから、天気が悪くなる可能性は高いと言えます。笠雲はあまりUFOとは間違われません。ただ異様な光景と映るようです。


大気光学現象

「副虹」
大抵の虹は一つと思われていますが、水滴中に1回反射する主虹と2回反射する副虹が存在します。入射角により主虹と副虹は異なります。副虹は水滴中で2回反射するため、主虹と逆転した色となります。また、副虹は主虹より淡く、見えないことが多くなります。虹が2つ見えたとか逆の色の虹が見えたというのは、副虹のことがあります。


「映幻日」
太陽光が氷晶中を通過する時に分光して、地平線の反対側に分光した光の帯が見えるものです。見た目は虹と同じですが、太陽が地平線上にあるため、さかさまになって見えます。寒い日の朝方や夕方に逆さの虹が見えたというのは、「映幻日」です。太陽光があることと空気中に氷晶があることの2条件によって発現するので、地震とは関係ありません。
「幻日」
大陽と22度離れた同じ高さに太陽によく似た虹のようなものが見えることがあります。雲の中に六角柱の氷晶ができるとき、空気抵抗によって落下する氷晶が一定方向に並ぶことがあります。ここを太陽光が通過する時、分光して虹色の幻の大陽を作ることを「幻日」と言います。なお、月光が通過すれば「幻月」で、時として起こることがあります。太陽光が通過できる雲中に氷晶があるのが条件となるため、地震とは関係ありません。

大陽の左右の太陽の同じ高さの虹色が「幻日」、その下に縦に見えるのが「映幻日」


白虹・赤虹
虹を作る水滴が小さすぎると、「ミー散乱」によって色が分かれなくなり、白く明るい半円が見えるようになります。これを白虹といいます。このとき朝焼けや夕焼けなどで太陽光線が赤みを帯びていると、白虹が赤く見えることがあり、これを赤虹と呼びます。条件によってはオレンジ色や黄色の虹も存在し、「金色の虹を見た」というのはこれにあたります。なお「ミー散乱」については、物理学や医学(がんなどの検査)が関わってくるので省略します。


「反射虹」
水面などで反射した太陽光によって作られる虹のことです。反射光によるため同心円状にはなりませんが、条件によっては元の虹と合わさってV字形の虹を作ることがあります。主虹にも副虹にも起こる現象で、一度にたくさんの虹を見たというのは、これにあたります。


「干渉虹」
過剰虹とも言います。水滴が大きくなった場合に干渉して、主虹の下側が淡く見えることです。主虹の下側の白い部分が干渉虹になります。場合によっては妙に太い虹に見えることがあります。


「月虹」
月の光でできる虹のことです。下が月虹でバックグラウンドが星空であることから「月虹」とわかります。


「彩雲」
太陽の近くを通りかかった雲が、緑や赤に彩られる現象です。瑞雲(ずいうん)、慶雲(けいうん)、景雲(けいうん)、紫雲(しうん)などともいい、吉兆とされています。 飛行機雲でも条件が合えば彩雲となります。

「環水平アーク」
地上と太陽の間にほぼ水平に出る虹のことです。次の環天頂アークも同じでき方です。簡単にいえば、同じ方向に並んだ氷晶内を通過する、太陽光の屈折と分光によって起こります。


「環天頂アーク」
これは太陽と天頂の間にできる虹のことで、別名「逆さ虹」と言われます。氷晶内の太陽光の進路によって発現します。


「太陽柱」(サンピラー)
氷晶に反射した太陽の虚像です。月やサーチライトの光でも起こります。


「グリーンフラッシュ」
日没時や夜明けでは、太陽光が大気中を斜めに通過することになります。太陽光が斜めに大気中に入るため、波長の短い光から順に散乱され、太陽が赤く見えます。これは普通に起こる夕日などですが、空気中の不純物が非常に少ない場合、緑の光が散乱されずに見えることがあります。これを「グリーンフラッシュ」と言いますが、太陽が見えている間は赤い色が強く緑色は見えません。従って「グリーンフラッシュ」が見える時間帯は太陽が昇る寸前か沈んだ直後、雲で隠された時の太陽の上端が、空気の揺らぎによって見えた瞬間ということになります。友人に訊かれたので書きましたが、地震とは無関係でしょう。



大陽光学現象はまだまだたくさんあります。

地震光の場合に意外と多いのが「雷」と「プラズマ」です。夜見える光はこれが多いですね。もちろん、判断がつかないものもあります。

次回は「地震雲」や「地震光」の実例についてかきましょう。





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