2017年5月9日火曜日

夕暮れの西の空に不思議な光

それは、私が高校3年の頃であった。季節は既に晩秋から初冬に移る頃である。夕暮れになって私たち11人は帰宅しようと学校からの帰途であった。高校3年の初冬と言えば、受験勉強たけなわである。我々11人はこんな時間まで勉強会でもやっていたのかと思う人もおられるに違いない。しかし、大方の予想に反してハンドボールをやっていたのである。受験前に遊んでいたわけだ。

我々の中の多くは、志望校に通るかどうかわからない状況であったのだが、級友を裏切るわけには行かない。我々は理系クラスであったが進学先は、11人の内、成績のいい順から2人が浪人した。残った9人の内の4人は医学部に、私ともう一人は理学部へ、3人は工学部に進学した。私以外は国立大学だったから結構優秀な連中である(私以外は優秀ということである)。

学校は小山の上にある。といっても周りの斜面は階段状の住宅地である。学校から出てしばらく行ったところに小さな公園がある。午前中は授業をサボった人がたむろしている公園だ。私も何度かお世話になったことがある。


ちょうどこんな光だった
さて、話は元に戻って、我々11人がその公園に差し掛かった時、突然、学級委員長が、「あれは、何や!」
と叫んだ。当然みんなは学級委員長の顔を見たが、彼は西の空を指さしていた。そこには夕暮れの中にひときわ光るものがあった。それは、不思議な光景であるかと言えば、案外そうでなかった。
「鳥だ!」
「飛行機だ!」
「スーパーマンだ!」
「違う!タダの光だ!」
タダの光はゆっくりと西の空に動いて、星が現れだした天空に消えていった。結局、何が何だか分からなかったが、委員長だけはUFOと信じて疑わなかった。




0 件のコメント:

コメントを投稿

ストレスケア