2017年4月20日木曜日

呪われた袋小路

うちの家がある路地は行き止まりになっている。その手前にアパートと一軒家が2棟あるのだが、うちの家までが人間界で、それより奥は霊界と繋がっているようである。アパートでは私が住み始めてから(と言っても30年くらいになるのだが)、知る限りで4人の人が変死している。首吊りが2人、割腹自殺が1人、あと一人はなんだかわからなくなってしまった。

一軒家の方もそれに劣らず不気味である。奥にある家の一家はある日一夜にして、突然全員が消えてしまった。霊界に引きずり込まれたに違いない。一度、長男を街で見かけた人がいるらしいといううわさがあるが、気のせいだろう。
その手前の家には二階に悪魔が住んでいる。私が越してきてからずっと住んでいる。悪魔は夜になると行動を起こす。悪魔はベランダをトイレの代わりにしている。悪魔は私が窓を開けて風呂に入っていると覗きにくる。悪魔は引きこもりである。私がこの家に越してきてから30年、ずっと引きこもっている。我々は霊界に引きずり込まれないように、緊張した日々を送っている。

先日、救急車がうちの裏の袋小路にやってきた。時間は定かでない。ピーポーの音もさせずに静かにやってきた。妻によると途中までは音がしていたので、交通事故だと思ったが、うちの裏の袋小路に入ってきた。そうこうしている間に変なワゴンがやってきて、テレビで見たような鑑識課がやってきた、よく考えてみると鑑識課かどうかは私には分からない。どうも2階らしい。部屋番号を言うのが聞こえてしまったが、さすがに書くわけにはいかないだろう。階段を登る足音が聞こえて・・・
悪魔の住む館、一夜にして消えた一家、4人もの不審死を出しているアパート。もしかすると、アパートの5人目の被害者なのかも知れない。


たぶん幽霊アパート
どうもアパートの2階のあの部屋に灯りが見える気がする。そういえば、気候のせいか、熱のせいか、それとも霊のせいかは分からないが、背筋にオカンが走る。オカンと言っても、母親のことでも温めた日本酒のことでもない。漢字で書けば悪寒。ついでに軽い吐き気が。霊障か。
あの部屋は確か先日にパトカーが来た部屋。あそこの次の住人は知らない間にいなくなって、今は誰もいないはず。どうやら霊が増えたのかも知れない。そこは、知る人ぞ知る霊域がある。トワイライトゾーンである。人間の手が届かない世界があるのだ。これから、この袋小路のことを「人生のイキドマリ」とよぶことにしよう。

今日も、袋小路を歩いてみると、風邪でもないのに、今日も背筋に悪寒が・・・・


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