2017年7月18日火曜日

自殺に見せかけた他殺


推理小説が好きで、それが高じて法医学やマザーグースやらの勉強をした。毒殺の他、射殺、刺殺、絞殺、撲殺、自殺などは勉強したが、轢殺(車などでひき殺す)、刺殺(刃物で刺し殺す)、撲殺(殴り殺す)、などはあまり勉強していない。

推理ドラマによく出てくる間違いには、毒薬の他に、首を絞めて殺し(絞殺)、いかにも首つり自殺したかのように見せかけるのがある。(絞殺は紐で首を絞める殺し方で、扼殺は手で首を絞める殺し方である。)最近もこのトリックを見たような気がする。このトリックは無理なのだ。自殺と他殺とはいろいろな違いが現れるのだ。刃物や銃を用いた方が分かりにくい。

扼殺と絞殺の違いははっきりと分かる。簡単に言えば、扼殺は前から両手で首を絞めるため、爪の跡が残ることが多い。かかる力も一様でないため力の強い部分が皮下出血する。絞殺の場合は、紐とか電気のコードとかで締めるため、一様に力がかかり、水平で深さ一様の痕が残る場合が多い。柔らかい布(タオルなど)で締めた場合は痕は残らない。推理ドラマでたまにあるような、
「手か紐で首を絞められた」
というあやふやの鑑識はまず起きない。

絞殺と縊死(首吊り自殺)についてはもっとはっきりと分かる。絞殺の特徴は吉川線(首の紐をはずそうとした引っ掻き傷)で、縊死については失禁跡が特徴となる。他にも、顔面のうっ血や死斑の場所が変わる。死斑について言えば、心臓が止まることによって血液が下部に溜まる現象で、死後数十分から始まり、14~16時間ぐらいで定着する。この間の死体の姿勢によって死斑の位置が変わる。

その他にもいろいろあるのだが、まあ、このぐらい知っておけば、推理ドラマや推理小説を今までと別の味方ができると思います。


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