我々の中の多くは、志望校に通るかどうかわからない状況であったのだが、級友を裏切るわけには行かない。我々は理系クラスであったが進学先は、11人の内、成績のいい順から2人が浪人した。残った9人の内の4人は医学部に、私ともう一人は理学部へ、3人は工学部に進学した。私以外は国立大学だったから結構優秀な連中である(私以外は優秀ということである)。
学校は小山の上にある。といっても周りの斜面は階段状の住宅地である。学校から出てしばらく行ったところに小さな公園がある。午前中は授業をサボった人がたむろしている公園だ。私も何度かお世話になったことがある。
ちょうどこんな光だった |
と叫んだ。当然みんなは学級委員長の顔を見たが、彼は西の空を指さしていた。そこには夕暮れの中にひときわ光るものがあった。それは、不思議な光景であるかと言えば、案外そうでなかった。
「鳥だ!」
「飛行機だ!」
「スーパーマンだ!」
「違う!タダの光だ!」
タダの光はゆっくりと西の空に動いて、星が現れだした天空に消えていった。結局、何が何だか分からなかったが、委員長だけはUFOと信じて疑わなかった。
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